タクシーのキャリアアップとして知っておきたい旅客運行管理者の資格全解説

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運行管理者(旅客)は、タクシー・バス・ハイヤーなど旅客自動車運送事業の安全運行を管理するための国家資格です。
試験は年2回(8月・3月)、CBT方式で実施され、合格率は約30〜35%。

受験には「実務経験1年以上」または「基礎講習の修了」が必要です。

タクシードライバーにとっては、営業所の管理職や内勤へのキャリアアップに直結する重要な資格であり、会社にとっても法令上の選任義務があるため保有者は非常に重宝されます。

1. 運行管理者(旅客)とは?資格の基本を解説

運行管理者とは、自動車運送事業者の営業所において、事業用自動車の安全な運行を確保するために配置が義務付けられている国家資格保有者です。
道路運送法および貨物自動車運送事業法に基づき、営業所ごとに車両数に応じた人数の運行管理者を選任しなければなりません。

運行管理者資格には「貨物」と「旅客」の2種類があります。貨物はトラック運送事業が対象、旅客はタクシー・ハイヤー・バスなど人を乗せて運行する事業が対象です。
タクシー業界で活躍するためには「旅客」の運行管理者資格が必要となります。

1-1. 運行管理者の主な業務

運行管理者は、ドライバーの乗務割の作成、乗務前後の点呼(アルコールチェック・健康状態の確認)、運行指示書の作成・指示、過労運転の防止、運転者台帳の管理、事故の記録・報告など、安全運行に関わる幅広い業務を担います。
特に点呼業務は運行管理者の中心的な職務であり、法令で定められた方法・頻度で確実に実施する責任があります。

1-2. タクシー会社における選任義務

タクシー会社では、営業所ごとに保有車両数に応じた運行管理者の選任が法令で義務付けられています。
具体的には、事業用自動車の数が39両以下の場合は1名以上、40両〜79両で2名以上、以降40両ごとに1名追加する必要があります。
大規模な営業所ほど多くの運行管理者が必要となるため、資格保有者はタクシー会社にとって貴重な存在です。

2. 運行管理者(旅客)資格の取得方法は2つ

運行管理者の資格者証を取得するには、大きく分けて「試験合格ルート」「実務経験+講習ルート」の2つの方法があります。

項目 試験合格ルート 実務経験+講習ルート
概要 国家試験に合格して資格者証を取得 実務経験5年以上+講習5回以上で取得
受験・受講要件 実務経験1年以上 または 基礎講習修了 運行管理の実務経験5年以上+講習5回以上(うち1回は基礎講習)
取得までの期間 基礎講習3日間+試験勉強1〜3か月 最短5年以上
費用目安 基礎講習 約8,700円+受験料6,000円+教材費 基礎講習+一般講習×4回分
主な対象者 短期間で資格を取りたい人(最も一般的) 既に補助者として長年勤務している人

 

実務経験+講習ルートは、無資格の状態で5年以上の実務経験を積むことが前提となるため、ハードルが高く現実的には少数派です。大半の受験者は基礎講習を修了した上で試験に合格するルートを選択しています。

3. 運行管理者試験(旅客)の試験概要

3-1. 試験の基本情報

項目 内容
実施機関 公益財団法人 運行管理者試験センター
試験回数 年2回(例年8月頃・3月頃)
試験方式 CBT方式(パソコン画面で解答、全国の試験会場から選択)
出題数 30問(5分野から出題)
試験時間 90分
合格基準 総得点60%以上(18問以上)+各分野の最低正答数あり
受験手数料 6,000円(非課税)+システム利用料660円(税込)
試験会場 全国47都道府県に各1か所以上
受験資格 実務経験1年以上 または 旅客の基礎講習修了(予定含む)

 

CBT方式の導入により、従来の筆記試験に比べて受験の柔軟性が大幅に向上しました。試験期間内(約1か月間)であれば、自分の都合に合わせて会場と日時を選択・予約できます。空きがあれば予約変更も可能です。

3-2. 出題分野と問題数

出題分野 問題数 最低正答数
1. 道路運送法関係 8問 1問以上
2. 道路運送車両法関係 4問 1問以上
3. 道路交通法関係 5問 1問以上
4. 労働基準法関係 6問 1問以上
5. その他運行管理者の業務に関し、必要な実務上の知識及び能力 7問 2問以上
合計 30問 18問以上(60%以上)

旅客試験の最大の特徴は、分野1が「道路運送法関係」である点です(貨物試験では「貨物自動車運送事業法関係」)。道路運送法はタクシー・バスなど旅客運送事業の根幹となる法律であり、出題数も8問と最多です。この分野を重点的に対策することが合格への近道となります。

合格には「総得点18問以上」に加えて、分野1〜4で各1問以上、分野5で2問以上の正答が必要です。つまり、特定の分野を捨てて他で稼ぐという戦略は使えず、全分野をバランスよく学習する必要があります。

4. 運行管理者試験(旅客)の合格率と難易度

4-1. 近年の合格率推移

試験回 受験者数 合格者数 合格率
令和5年度 第1回(2023年8月) 5,158人 1,780人 34.5%
令和5年度 第2回(2024年3月) 5,434人 1,984人 36.5%
令和6年度 第1回(2024年8月) 30.7%
過去5年平均 約33〜36%

旅客試験の合格率は過去10年間で17.5%〜47.4%の範囲で推移しており、近年は概ね30〜36%で安定しています。貨物試験と比較するとやや高い傾向にありますが、3人に1人しか合格できない水準であり、しっかりとした対策が必要です。

4-2. 難易度の評価

運行管理者試験(旅客)の難易度は、国家資格の中では「中程度」と位置付けられます。合格に必要な勉強時間の目安は50〜100時間とされ、1日2時間の学習で1〜2か月程度が標準的な準備期間です。

ただし、2016年の軽井沢スキーバス事故以降、運行管理の重要性が社会的に認識され、試験の難易度は年々上昇傾向にあります。以前のような一夜漬けでの合格は困難になっており、過去問対策と法令知識の体系的な学習が不可欠です。特に法改正があった場合は最新の情報をフォローする必要があり、基礎講習を受けたらなるべく早く受験することが推奨されています。

5. 受験資格の取得:基礎講習の受け方

運行管理者試験は誰でも受けられるわけではなく、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

要件1:実務経験1年以上 自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除く)の事業用自動車の運行管理に関し、試験日の前日までに1年以上の実務経験があること。ただし、ドライバーとしての運転業務や、営業・総務・経理などの管理業務は「運行管理の実務経験」に該当しないため注意が必要です。

要件2:基礎講習の修了 国土交通大臣が認定する講習実施機関で「旅客」の基礎講習を修了していること(または試験日の2週間前までに修了予定であること)。講習の種類と試験の種類は一致している必要があり、旅客の試験を受けるには旅客の基礎講習を受講しなければなりません。

5-1. 基礎講習の概要

基礎講習は3日間(計16時間)のカリキュラムで構成され、道路運送法の基礎知識、運行管理の実務、安全運転指導の方法などを体系的に学びます。受講料は講習実施機関によって異なりますが、概ね8,700円程度です。全国各地のNASVA(自動車事故対策機構)の支所や、国土交通大臣認定の民間講習機関で受講できます。

実務経験がないタクシードライバーが運行管理者を目指す場合、まずこの基礎講習を受講して受験資格を得るのが一般的なルートです。基礎講習で学んだ内容は試験にも直結するため、講習修了後すぐに試験勉強に取りかかると効率的です。

6. 運行管理者試験(旅客)の効果的な勉強法

6-1. 勉強時間の目安とスケジュール

合格に必要な勉強時間は50〜100時間が目安です。働きながら準備する場合は、1日1〜2時間の学習を2〜3か月間続けるスケジュールが現実的です。試験日から逆算して計画を立て、分野ごとに学習期間を配分しましょう。

6-2. おすすめの学習ステップ


STEP 1
:最新テキストで全体像を把握(1〜2週間) まず最新版のテキストを1冊通読し、5つの出題分野の全体像を把握します。法改正が頻繁にあるため、必ず最新年度のテキストを使用してください。古い教材では法改正部分がカバーされておらず、本番で対応できない可能性があります。

STEP 2:過去問を繰り返し解く(3〜6週間) 運行管理者試験は過去問と類似の出題パターンが多いため、過去問演習が最も効果的な対策です。最低でも過去5回分、できれば10回分の過去問を繰り返し解き、出題傾向と頻出論点を体に染み込ませましょう。間違えた問題はテキストに戻って該当箇所を確認し、理解を深めます。

STEP 3:数字を暗記する(並行して) 運行管理者試験では、拘束時間・休息期間・連続運転時間などの具体的な数値が問われます。特に労働基準法関係では「1日の拘束時間は原則13時間以内、最大16時間」「休息期間は継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない」「連続運転時間は4時間以内」などの数字を正確に覚える必要があります。暗記カードやスマホアプリを活用して隙間時間に反復学習しましょう。

STEP 4:模擬試験で仕上げ(試験1〜2週間前) 本番同様の制限時間(90分)で模擬試験を解き、時間配分と解答スピードを確認します。CBT方式に慣れるために、パソコン画面上での解答練習もしておくと安心です。

6-3. 分野別の学習ポイント


道路運送法関係(8問):
旅客試験の核となる分野。タクシー事業の許可・認可制度、運送約款、運行管理者の選任要件・業務内容、点呼の実施方法、乗務員の指導監督に関する規定などが頻出。数値(選任基準の車両数など)も正確に覚える必要があります。


道路運送車両法関係(4問):
車両の登録制度、定期点検整備(3か月点検・12か月点検)、自動車検査制度、保安基準などが出題対象。出題数は4問と少ないものの、最低1問の正答が必要なため捨てることはできません。

道路交通法関係(5問):運行管理に関連する交通ルール、飲酒運転・過労運転の防止、車両の通行制限、駐停車規制、信号の意味など。運転免許保有者であれば基礎知識があるため、比較的取り組みやすい分野です。

労働基準法関係(6問):「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)が中心。拘束時間・休息期間・連続運転時間の数値は丸暗記が必要です。2024年4月からドライバーの時間外労働の上限規制が強化されており、最新の改善基準をフォローすることが重要です。

その他実務上の知識及び能力(7問):運行管理者の視点から見た実務的な判断力を問う問題。事故防止対策、健康管理、交通事故の統計データ、運行記録計の活用などが出題されます。最低2問の正答が必要であり、実務感覚を養うことがポイントです。

7. タクシー業界で運行管理者資格を活かすキャリアパス

7-1. ドライバーから管理職への昇進

タクシードライバーが運行管理者資格を取得する最大のメリットは、営業所の管理職(班長・所長・管理者)への昇進ルートが開けることです。
法令上、各営業所に一定数の運行管理者を配置する義務があるため、資格保有者は会社にとって必要不可欠な人材です。
現場のドライバー経験と運行管理の知識を兼ね備えた人材は高く評価され、内勤への配置転換やマネジメント職への抜擢が期待できます。

7-2. 収入面でのメリット

運行管理者として選任されると、多くのタクシー会社で「運行管理者手当」が支給されます。
金額は会社によって異なりますが、月額5,000〜20,000円程度が相場です。
また、管理職に昇進すれば歩合制から固定給制に移行するケースが多く、収入の安定性が大幅に向上します。

7-3. 独立・転職での優位性

運行管理者資格は、タクシー会社間の転職時にも強力なアピールポイントとなります。
特にドライバー不足が深刻な中小タクシー会社では、運行管理者資格を持つ経験者は即戦力として歓迎されます。
将来的に個人タクシーの開業や、タクシー・ハイヤー会社の起業を視野に入れている場合も、運行管理の知識は事業運営に不可欠です。

8. 試験を受けずに運行管理者資格を取る方法

前述の通り、運行管理者資格は試験合格以外に「実務経験5年以上+講習5回以上」でも取得可能です。
具体的には、運行管理の実務経験が5年以上あり、かつその間に基礎講習1回を含む一般講習・基礎講習を合計5回以上受講していれば、所定の書類を提出することで資格者証が交付されます。

この方法は試験勉強の負担がない反面、最低でも5年間の実務経験が前提となるため、タクシー会社に入社後すぐにキャリアアップを目指す場合は試験合格ルートの方が圧倒的に効率的です。
既にタクシー会社で運行管理の補助者として長年勤務している方には有効な選択肢です。

9. 運行管理者(旅客)に関するよくある質問

Q. タクシードライバーをしていれば受験資格の「実務経験1年」に該当しますか?

いいえ、タクシーの運転業務(ドライバーとしての乗務)は「運行管理の実務経験」に該当しません。
受験資格における実務経験とは、あくまで「運行管理に関する業務」(点呼の実施、乗務割の作成、運行記録の管理など)を指します。
ドライバーが受験資格を得るには、基礎講習(旅客)を修了するのが最も確実な方法です。

Q. 貨物の運行管理者資格を持っていれば旅客の試験は免除されますか?

いいえ、貨物と旅客は別資格であり、試験の免除や科目免除はありません。
タクシー業界で運行管理者として選任されるには、旅客の資格者証が必要です。
貨物の資格を持っている方も、改めて旅客の試験に合格する必要があります。ただし、出題5分野のうち4分野は貨物と共通しているため、貨物の知識がある方は道路運送法関係の分野を重点的に学習すれば効率的に合格を目指せます。

Q. 基礎講習はいつ受ければいいですか?

試験の受験申請時点で基礎講習を修了している必要がありますが、「修了予定」として申請することも可能です。
ただし、指定の期日までに実際に修了していなければ受験できません。
基礎講習で学んだ内容は試験に直結するため、講習修了後すぐに試験を受けるのが最も効率的です。時間が空くと法令知識を忘れてしまうため、講習と試験を近い日程で組み合わせることをおすすめします。

Q. 合格後に何をすればいいですか?

試験合格後は、合格発表日から3か月以内に、所定の書類を揃えて管轄の運輸支局に「運行管理者資格者証」の交付申請を行う必要があります。
3か月以内に申請を行わないと合格が無効になるため、合格が判明したらすぐに手続きを進めましょう。
資格者証の交付を受けて初めて、運行管理者として選任される資格が得られます。

Q. 運行管理者資格に有効期限はありますか?

運行管理者資格者証自体に有効期限はなく、一度取得すれば生涯有効です。
ただし、運行管理者として選任されている間は、2年ごとに1回以上の「一般講習」を受講する義務があります。
新たに選任された場合は、選任届出をした年度内に基礎講習または一般講習を受講しなければなりません。

Q. 運行管理者試験の勉強にかかる費用はどのくらいですか?

基礎講習の受講料が約8,700円、受験手数料が6,000円(+システム利用料660円)、テキスト・過去問題集が2,000〜4,000円程度です。
合計すると約17,000〜20,000円が目安となります。通信講座を利用する場合は追加で20,000〜50,000円程度かかりますが、独学でも十分に合格可能な試験です。

10. 運行管理者(旅客)はタクシー業界のキャリアを変える資格

運行管理者(旅客)は、タクシー・バス・ハイヤーなど旅客運送事業の安全運行を支える国家資格です。
合格率は約30〜36%で、国家資格としては決して取得不可能な難易度ではありません。
基礎講習を受講すればドライバー経験のみでも受験資格を得られ、50〜100時間程度の学習で合格を目指せます。

タクシードライバーにとって、この資格は「現場のドライバー」から「営業所の運営・管理に携わるマネジメント人材」へのキャリアチェンジを実現するための最も確実なパスポートです。
法令上の選任義務があるため資格保有者は常に需要があり、管理職手当や固定給制への移行など収入面でのメリットも見込めます。

試験は年2回(8月・3月)のCBT方式で、全国どこでも受験可能です。まずは最寄りの講習実施機関で基礎講習の日程を確認し、受験スケジュールを組み立てるところから始めてみてください。タクシー会社によっては受験費用を補助してくれる制度もあるため、在籍中の方は人事部門に相談してみることをおすすめします。

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