タクシーとハイヤーの違いを解説
タクシーとハイヤーはどちらも旅客を目的地に送り届ける移動サービスですが、営業形態・料金体系・車種・サービスレベルが大きく異なります。
タクシーは街中で流し営業や駅待ちが可能な「公共交通機関」、ハイヤーは完全予約制の「個別輸送機関」です。
料金はタクシーがメーター制(初乗り500円前後〜)に対し、ハイヤーは営業所の出庫から帰庫までが課金対象(1回1万〜3万円〜)
車種もタクシーはJPN TAXIやクラウンが主流ですが、ハイヤーはレクサスLSやセンチュリー、アルファードなどの高級車が使用されます。
道路運送法上、ハイヤーはタクシーの一種として分類されています。
1. タクシーとハイヤーの法的な位置付け
道路運送法では、タクシーもハイヤーも「一般旅客自動車運送事業(一般乗用旅客自動車運送事業)」に分類されます。つまり法律上、ハイヤーはタクシーの一種という位置付けです。どちらも旅客を有償で運送する事業であり、運転手には普通自動車第二種運転免許が必要です。
ただし、道路運送法ではタクシーを「公共交通機関」、ハイヤーを「個別輸送機関」と規定しており、営業形態に明確な違いがあります。タクシーは不特定多数の旅客を乗せることを前提とした公共性の高いサービスであるのに対し、ハイヤーは特定の依頼者のために専属的に運行される個別輸送サービスです。
2. タクシーとハイヤーの7つの違い|一覧比較表
| 比較項目 | タクシー | ハイヤー |
| 営業形態 | 流し営業・駅待ち・配車アプリ・電話予約 | 完全予約制(事前予約のみ) |
| 料金体系 | メーター制(乗車〜降車の距離・時間) | 出庫〜帰庫までの全時間が課金対象 |
| 料金目安 | 初乗り500円前後〜(短距離なら1,000〜3,000円) | 1回1万〜3万円〜(スポット利用の場合) |
| 支払方法 | 降車時に現金・クレジットカード・QR決済など | 後日請求書払い(振込・口座引落・カード) |
| 車種 | JPN TAXI・クラウン・プリウスなど | レクサスLS・センチュリー・アルファードなど高級車 |
| 外観 | 行灯あり・会社カラーの塗装 | 行灯なし・黒塗り・外見で判別しにくい |
| ドア開閉 | 自動ドア(乗客が自分で乗降) | 運転手が手動でドアを開閉 |
| サービスレベル | 一般的な接客(安全・丁寧な輸送) | 高級ホスピタリティ(ビジネスマナー・外国語対応も) |
| 主な利用者 | 一般市民(通勤・買い物・観光など) | 企業役員・VIP・官公庁・冠婚葬祭 |
| 契約形態 | 都度利用(予約不要で即乗車可能) | スポット利用・月契約・年間契約 |
| メーター | 車内に表示(料金が見える) | 法令上設置義務あるが客から見えない位置 |
3. 営業形態の違い:流し営業 vs 完全予約制
タクシーの営業形態は大きく3つに分かれます。
「流し営業」は道路をゆっくり走行しながら手を挙げる客を探すスタイル、「待機営業」は駅前やホテル前などのタクシー乗り場で客を待つスタイル、「配車営業」は電話やGOアプリ・S.RIDEなどの配車アプリを通じて依頼を受けるスタイルです。
いずれも事前予約なしで利用でき、即時性が最大の強みです。
一方、ハイヤーは完全予約制です。利用者は事前にハイヤー会社に連絡し、日時・行き先・車種などを打ち合わせた上で手配します。ハイヤーの車両が街中を流して営業することはなく、駅前で客待ちすることもありません。予約が入って初めて営業所を出庫し、送迎を終えたらそのまま営業所に帰庫します。
また、ハイヤー運転手としての様々な働きかたの違いがあります
一般のハイヤー業務から一定の企業又は個人の専属ハイヤー業務などがあります
この違いから、タクシーは「今すぐ乗りたい」場面に、ハイヤーは「スケジュールが決まっている重要な移動」に適しています。
4. 料金体系の違い:なぜハイヤーは高いのか
4-1. タクシーの料金体系
タクシーの料金はメーター制で、乗車地点から降車地点までの走行距離と所要時間に基づいて算出されます。
東京の場合、初乗り料金は1.096kmまで500円(2023年11月改定後)で、以降255mごとに100円が加算されます。また、時速10km以下の走行時(渋滞や信号待ち)は時間距離併用運賃として1分35秒ごとに100円が加算されます。深夜(22時〜翌5時)は2割増しとなります。
4-2. ハイヤーの料金体系
ハイヤーの料金は、車両が営業所を出庫してから帰庫するまでの全時間が課金対象です。
つまり、お客様を迎えに行く「回送区間」と、送り届けた後に営業所に戻る「回送区間」の料金も含まれます。
これがハイヤーの料金がタクシーより大幅に高くなる主な理由です。
具体的な料金は車種・利用時間・走行距離・契約内容によって変動しますが、スポット利用(1回の送迎)で1万〜3万円程度が目安です。
空港送迎やゴルフ送迎など定型的な利用では、あらかじめ見積もりを取って料金が確定した上で乗車するため、タクシーのように「メーターが上がっていく不安」がないのはメリットです。
法人の月契約・年間契約の場合は割引が適用されることが多く、通常のスポット料金より割安で利用できます。
役員の通勤送迎など毎日利用するケースでは、年間契約が一般的です。
5. 車種・外観の違い:行灯と黒塗りの見分け方
5-1. タクシーの車種と外観
タクシーの代表的な車種は、トヨタのJPN TAXI(ジャパンタクシー)、クラウンコンフォート、プリウスなどです。特にJPN TAXIは2017年の登場以降、東京都内を中心に急速に普及しており、藍色(深藍)のボディカラーが特徴的です。
車体の屋根には「行灯(あんどん)」と呼ばれる表示灯が設置されており、会社名やロゴが表示されます。
車体側面にはタクシー会社のカラーリングやロゴが施されているため、遠くからでもタクシーと判別できます。
5-2. ハイヤーの車種と外観
ハイヤーに使用される車種は、セダンタイプではトヨタ・センチュリー、レクサスLS、トヨタ・クラウンマジェスタ、日産フーガなどの高級車が中心です。
ミニバンタイプではトヨタ・アルファード、ハイエースなどのハイエンドモデルが採用されます。
いずれも黒塗り(ブラック)のボディが基本で、行灯は付いていません。
外観上の最大の特徴は「目立たないこと」です。
社名やロゴの表示もなく、一般の黒塗り高級車と見分けがつきにくいデザインになっています。
これはVIPや役員の送迎において、外部から利用者の行動が分かりにくくする配慮でもあります。
6. サービス・接客レベルの違い
6-1. タクシーのサービス
タクシー運転手に求められるのは、安全運転と基本的な接客マナーです。
自動ドアによる乗降、目的地までの適切なルート選択、丁寧な言葉遣いなどが基本サービスとなります。近年はGOアプリなど配車アプリの普及により、乗車前に行き先を入力できるため、車内でのコミュニケーションも効率化されています。
6-2. ハイヤーのサービス
ハイヤー運転手には、タクシーとは一線を画す高度なホスピタリティが求められます。運転手が車を降りて手動でドアを開閉する、手荷物の積み下ろしを代行する、お客様のスケジュールに合わせて渋滞時の迂回路まで事前に調査しておくなど、きめ細やかなサービスが特徴です。
さらに、ハイヤー運転手には上質なビジネスマナーが不可欠です。
お客様が会社役員や政治家、海外のVIPであることが多いため、礼儀作法・身だしなみ・言葉遣いに高い水準が求められます。
海外の賓客に対応するために、英語など外国語に堪能なドライバーが配置されるケースもあります。
また、お客様のプライバシーに関する厳格な守秘義務が課されるのもハイヤー運転手の特徴です。
7. 利用シーンの違い:どんな場面で使われているか
7-1. タクシーが適している場面
日常の移動:通勤・帰宅・買い物・通院など、日常生活の移動手段として最も手軽です。
予約不要で即乗車でき、料金もメーター制で明瞭。GOアプリやS.RIDEを使えば、スマホ一つで配車から決済まで完結します。
急な移動:「今すぐ移動したい」「終電を逃した」といった急な移動ニーズにはタクシーが最適。街中で手を挙げれば乗車でき、予約の手間がありません。
観光・旅行:最近は観光タクシーとして、ドライバーが観光ガイドを兼ねるサービスも増えています。時間貸し(2時間〜)で利用でき、荷物を持ったまま効率よく観光地を巡れます。
7-2. ハイヤーが適している場面
企業役員の移動:最も一般的なハイヤーの利用シーンです。
役員の通勤送迎、取引先への訪問、株主総会やIR説明会への移動など、スケジュール通りの確実な移動が求められるビジネスシーンではハイヤーが選ばれます。
月契約・年間契約で専属ドライバーを確保するケースが多いです。
VIP・来賓の送迎:海外の重要顧客や政府関係者の送迎では、セキュリティとホスピタリティの両面からハイヤーが必須です。
空港への出迎えから宿泊施設、訪問先までの一連の動線をハイヤー会社と事前に打ち合わせ、万全の体制で送迎します。
官公庁では配車する車番やドライバーの氏名を事前提出するケースもあります。
冠婚葬祭:結婚式の仲人送迎、二次会への移動、葬儀における住職の送迎や火葬場までの移動など、格式が求められるシーンでもハイヤーが利用されます。
一般の方がハイヤーに乗る機会としては、冠婚葬祭が最も多いと言われています。
接待・会食:重要な取引先との会食や接待ゴルフの際、タクシーではなくハイヤーを手配することで「おもてなし」の姿勢を示すことができます。
黒塗りの高級車で出迎えることで、ビジネスの格式を高める効果があります。
8. ドライバー目線:タクシー運転手とハイヤー運転手の働き方・年収の違い
8-1. 給与体系の違い
| 比較項目 | タクシー運転手 | ハイヤー運転手 |
| 給与体系 | 完全歩合制 or 固定給+歩合給 | 固定給 or 固定給+歩合給(歩合比率低め) |
| 平均年収 | 約393万円(令和6年・全国平均) | 約400万〜600万円 |
| 東京都年収 | 約484万円(トップ層は800万円超) | 約500万円以上(経験5年目安・大手4社) |
| 賞与 | 会社によるが無い場合も多い | 大手4社は年2回あり |
| 収入の安定性 | 低い(売上に直結する歩合制) | 高い(固定給ベース・月収補償制度あり) |
| 必要な免許 | 普通自動車第二種運転免許 | 普通自動車第二種運転免許(同じ) |
8-2. 働き方の違い
タクシー運転手の主な勤務形態は「隔日勤務」(1回の乗務が20時間前後、翌日は明け休み)で、月11〜13回程度の出勤です。
自分の判断で営業エリアや営業方法を選べる自由度の高さが魅力ですが、売上が収入に直結する歩合制のため、稼げる月とそうでない月の差が大きくなりがちです。
ハイヤー運転手の勤務形態は、担当する顧客のスケジュールに合わせて決まります。
朝の出勤送迎から夜の帰宅送迎まで1日通しで拘束されるケースもあれば、スポット的な送迎のみのケースもあります。
自分で客を探す必要がないため精神的な負担は少ない一方、お客様のスケジュール変更に柔軟に対応する必要があり、残業や休日出勤が発生することもあります。
8-3. キャリアパスとしてのハイヤー運転手
ハイヤー運転手になるには、多くの場合タクシー運転手として一定期間の経験を積むことが求められます。
大手タクシー会社の「大和自動車交通」や「国際自動車(km)」では、入社後まずタクシードライバーとして都内の地理を学び、その後ハイヤー部門に異動するキャリアパスが用意されています。
国際自動車の場合、タクシー乗務(2か月)→ハイヤー専門研修(2か月)というステップで、未経験からハイヤー運転手を目指せます。
ハイヤー運転手として実績を積み、特定の顧客から高い信頼を得ると、直接雇用(個人契約のお抱え運転手)に移行するケースもあり大幅な年収アップが期待できます。
9. 知っておきたい地域による呼び方の違い
都市部ではタクシーとハイヤーは明確に区別されますが、地方ではこの区別が曖昧な場合があります。
特に北海道では、社名に「ハイヤー」を含むタクシー会社が多数存在します。
これは、地方では流し営業が成立しにくく、電話予約による配車が主な営業形態となるため、ハイヤー式の運営をするタクシーが多いことに由来します。
つまり、地方で「〇〇ハイヤー」と名乗っている会社でも、実態はタクシー事業を行っているケースが一般的です。
利用する際は、社名に拘らず、サービス内容(メーター制か定額制か、予約制か即乗車可能か)で判断しで利用しています
10. タクシーとハイヤーの違いに関するよくある質問
Q. ハイヤーとタクシーでは必要な免許は違いますか?
同じです。どちらも普通自動車第二種運転免許が必要です。ハイヤー運転手だからといって特別な免許が求められるわけではありません。ただし、ハイヤー運転手にはタクシー以上に高い運転技術・接客マナー・ビジネスマナーが求められるため、多くのハイヤー会社では独自の研修プログラムを設けています。
Q. タクシーアプリでハイヤーを呼べますか?
GOアプリなどの一般的なタクシー配車アプリでは、通常のタクシーが配車されます。
ただし、一部のアプリやサービスでは「ハイヤー」「プレミアムタクシー」といった上位グレードの車両を指定して配車できるオプションが用意されている場合もあります。
本格的なハイヤーを利用する場合は、ハイヤー会社に直接予約を入れるようになります
Q. ハイヤーの料金はタクシーの何倍くらいですか?
一概には言えませんが、同じ距離の移動であればハイヤーはタクシーの5〜10倍以上になることが一般的です。
これはハイヤーの料金が営業所の出庫から帰庫までの全時間を対象としているためです。ただし、法人の月契約・年間契約の場合は割引が適用され、1回あたりの実質コストはスポット利用より大幅に下がります。
Q. タクシー運転手からハイヤー運転手に転職できますか?
はい、可能です。実際にハイヤー運転手の多くはタクシー運転手からの転職が多いのです
大手タクシー会社ではタクシー部門からハイヤー部門への社内異動制度があり、国際自動車などでは入社後のキャリアパスとしてハイヤーへの道が用意されています。
ハイヤー運転手の平均年収(400万〜600万円)はタクシー運転手の全国平均(約393万円)を上回る傾向にあり、キャリアアップとして検討する価値があります。
Q. 個人でハイヤーを利用することはできますか?
はい、法人だけでなく個人でも利用可能です。冠婚葬祭の送迎、記念日のお祝い、空港送迎、観光貸切などで個人利用するケースも増えています。
料金はスポット利用で1万〜3万円程度から。最近ではインターネットから簡単に見積もり・予約ができるハイヤー会社も多く、以前より個人利用のハードルは下がっています。
Q. ライドシェアとタクシー・ハイヤーの違いは何ですか?
ライドシェア(日本版)は2024年4月から一部地域で解禁された新しい移動サービスで、一般ドライバーが自家用車で旅客を運送するものです。
タクシーやハイヤーとの最大の違いは、ドライバーが二種免許を持たない一般の方である点です。
タクシーやハイヤーは旅客運送のプロ(二種免許保有者)が運転するのに対し、ライドシェアは一種免許のドライバーがタクシー会社の管理下で運行します。
サービス品質や安全性の面で、タクシー・ハイヤーとは性格が異なるサービスです。
11. タクシーとハイヤーは「用途」で使い分ける
タクシーとハイヤーの違いを一言で言えば、「日常の移動手段」と「特別な場面のプレミアム移動手段」の違いです。
タクシーは手軽さ・即時性・コストパフォーマンスに優れ、日常のあらゆる移動シーンで活躍します。
一方ハイヤーは、高級車による快適な乗り心地、プロフェッショナルなホスピタリティ、スケジュール通りの確実な運行を提供し、ビジネスや格式ある場面で真価を発揮します。
タクシードライバーとしてキャリアをスタートし、将来的にハイヤー運転手へのキャリアアップを目指す道も開かれています。
タクシー会社への就職・転職を検討している方は、入社先にハイヤー部門があるかどうかも確認しておくと、将来の選択肢が広がります。
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